選択理論心理学とは、アメリカの精神科医であるウィリアム・グラッサー(1925~)によって提唱された「人間の脳の働きと行動のシステム」を説明する理論で、内的コントロール心理学の一つです。
選択理論では、人は、外からの刺激に反応して行動するのではなく、遺伝子の指示により、自分の基本的欲求を充たすべく、内側から動機づけられて行動する(内的コントロールにより行動する)、とされます。
そして、人の行動には目的があり、人はそのときの最善の行動をしていると考えられますが、その行動はその人の選択であり、人は常に自分の行動を選択することができる、としています。
選択理論は、グラッサーが、患者の精神医療や矯正施設、個人のカウンセリング、学校、地域社会などで、臨床的な経験を重ねて、生み出し、発展させてきた、使い勝手のよい実践的心理学であり、カウンセリングやコーチング、マネジメントなどの基本理論として汎用的に使えるものです。
選択理論と、選択理論を実践する手法であるリアリティセラピーは、私たちにとって、
①幸せをふやし、不幸せを減らす行動を選択していく方法であり、
②身近な人との人間関係を良好にできる方法であり、
③自分の願いを大切にしながら、人の願いや思いも大切にし、自分を支援できるとともに、他者を支援できる方法、
ということができます。
具体的に、個人が選択理論・リアリティセラピーを自分のことで使う場合を考えますと、
「今の自分(自分のリアリティ)」に焦点を当てて、
①どういう自分でありたいのか、自分にとって何が大事なのか、何を手に入れたいと望んでいるのか、自分は何になりたいのか、どういう風に生きていきたいのか、というような日常生活や人生における目標やゴールを明確にすることができる、
②「自分の目標やゴール(願望)」と「今の自分の現状」とのギャップを明確にして、自分の目標や願望を着実に実現していくことができる、
③個人にとって、「人生が幸せなものとなるか、不幸なものとなるか」を大きく左右する「身近な人との人間関係の質」を良好なものにできる、
など、私たちの人生でもっとも大事なことに、上手に対処できるようになります。
この選択理論を、人のマネジメントに応用するものが、「リードマネジメント」ということになります。