効果的でないボスマネジメントの氾濫

会社は従業員を、会社の仕事をさせるために雇用します。一方、従業員は、自分の労働力と時間を会社に売り、会社が求める仕事をすることで、対価として給料をもらって生計を立てています。

 

職場では、上司は、従業員(部下)のするべき仕事を指示命令し、従業員は指示命令を受けて仕事をさせられる関係にあり、これが「雇う者と雇われる者」、「使う者と使われる者」の関係です。

 

そして、会社では、上司が部下に対して、①行動を指示する、②行動を命令する、さらに、③部下が思い通りに動かない場合は、強い外的コントロールを使って、自分の思い通りに相手を行動させようとする、ということが、普通のこととして、行われています。

 

上司としては、ボスマネジメントをすることで、従業員が、やる気を持って、スピーディで質の高い仕事を自発的にしてくれることを期待しているのですが、上司の期待通りにならない場合、例えば、従業員の仕事のスピードが遅く、仕事の質が低く、しかも、やる気が今ひとつ、というような場合には、上司の方では、部下に対して、非難、叱責、懲罰を行うことで上司の思い通りに仕事をさせようとしがちです。

 

この場合、上司としては、部下に対して、リーダーシップを発揮しているつもりで、このようなボスマネジメントを行っているということが言えるかもしれません。厳しく管理すれば品質や生産性は向上し、ミスもなくなる、叱啼激励して、支持の通りさせることが使命だと思っている、厳しく管理し、指導することが役目だと思っている、ということがあるでしょう。

 

皆さんも、以上のようなボスマネジメントをされたり、したりという経験があると思います。

 

また、ボスマネジメントは、上級管理職よりも、下級管理職が行いがちです。それは、下級管理職が自分も同じようにボスマネジメントを受けてきたからです。また、年配の者や、経験者が、若手や経験の少ない者に対してボスのようにふるまうこともよくあります。

 

ボスは、ボスマネジメントすることにより、力の欲求と、自分の取り巻きとの間で所属の欲求が満たされますので、ボスにとっては気持ちのよいものとなります。

 

また、ボスマネジメントされる側も、自分の部下に対してはボスマネジメントをしがちですので、ボスマネジメントは職場のあちこちではびこっていきます。

 

しかしながら、ボスマネジメントは、これが行われれば、行われるほど、従業員の欲求を阻害しますので、やる気が低く、創意工夫がなく、いやいや仕事をし、時間がかかって、仕事の質が低いということになりかねず、企業や組織にとっては、マネジメントの効果が大きくなかったり、効果が永続きしなかったり、など、余計なコストがかかる原因となります。