リードマネジメントの考え方

「人をマネジメントする」とは、「自分が意図することを、人を介して行うこと」ととらえられます。つまり、「相手に、自分が意図していることを、してもらうこと」であり、実際に相手に動いてもらうことが必要です。

 

ボスマネジメントの背後には、①人は外側から動機付けられる、②人は、強い外的コントロールによって変えることができる、という考え方(選択理論では、これを外的コントロール心理学と呼ぶ)があります。

 

一方、リードマネジメントの背後には、①人は内側から動機付けられる(人は自分で自分の行動をコントロールしている)、②相手の行動を自分の思いどおりにコントロールすることはできない、という考え方(選択理論では、これを内的コントロール心理学と呼ぶ)があります。 

 

つまり、ボスマネジメントは、「自分は相手の行動をコントロールすることができる」という外的コントロール心理学に基づくものであり、一方、リードマネジメントは、「私たちがコントロールできるのは自分の行動だけである。私たちは、他人の行動をコントロールすることはできない」という内的コントロール心理学に基づくものです。

 

このように、ボスマネジメントとリードマネジメントでは、背後にある考え方が全く異なります。また、ボスマネジメントは、ボスの自分本位のマネジメントであり、「相手の欲求充足を阻害するマネジメント」といえます。

 

一方、リードマネジメントは、相手の立場に立った、相手本位のマネジメントであり、「相手の欲求充足を支援するマネジメント」であるといえます。

 

「選択理論に基づいて相手をマネジメントする」ということは、「自分の欲求を充足するのに、相手の欲求を阻害することはしない」、「相手の欲求充足を支援しながら、自分の欲求を充足する」、「絶えざる上質を追及する」ようなマネジメントの方法ということになります。

 

上司が部下に対して期待している成果を、部下が、自分の欲求と願望を充たしながら、上げていくことを、上司が側面から支援するというマネジメントであり、相手を内的に動機づけることによる「人のマネジメント」の一手法であるといえます。

 

リードマネジメントでは、リードマネージャーは、「自分がコントロールできるのは自分の行動だけである」、「相手を、自分の思い通りにコントロールすることはできない」としながらも、「相手は、それがよい選択であると気づけば、自主的に行動を変える」という考え方のもとで、相手が自分の欲求を充たせるような、相手が自ら行動を変えてくれるような、影響力のある言動をとっていくことになります。

 

リードマネージャーが期待している行動を、相手が自ら選択してくれるよう、「相手の内的動機づけを促す質問や言動」を行い、相手自身の内的コントロールに働きかけて、自主性を引き出し、行動してもらえるようにします。その際、相手の欲求充足に配慮し、相手の選択を重視します。

 

そして、相手が実際にどう動くかは、相手が選択し、決定することであって、相手が主導権を握っています。そのため、リードマネージャーは、相手が協力してくれることを頼みとすることになります。